2年連続の春季リーグ優勝、大学選手権出場を目指す桐蔭横浜大の主将に、高橋塁内野手(新4年・桐蔭学園)が選ばれた。副将には、角井将治外野手(新4年・平塚学園)が。神奈川の高校野球で揉まれた2人が、横浜スタジアムをメインとする「神奈川大学野球リーグ」で集大成を見せる。両選手に話を聞く機会があった。


 新主将の高橋選手は「大学にはいろいろな選手がいるので、個性を把握するのが難しい。うちは部員数が多くて、180人にもなるので、その中でどうやって個性を把握していくかを考えています」と抱負を語った。「入学時から塁(るい)がキャプテンになるんだろうな、という雰囲気があった」とふり返る角井選手。高橋選手は桐蔭学園時代も主将を務め、言葉と行動力で仲間を引っ張るキャプテンシーには定評があった。大学では公式戦でタイブレークを2度決めるなど、勝負強さと強運も持ち合わせている。チームの強みでもある粘り強さを発揮し「明るさ」を前面に出したチーム作りを目指す。

「負けていてもベンチで声が絶えず出ているような、どこにも負けない明るいチームにしたいです。今年は特に仲が良いので、楽しみですね」。高校時代から互いをよく知る角井副将とともに、息の合った連携でチームを優勝へと導くつもりだ。


この日は強風で、グラウンドの土が激しく舞う中での練習。土で真っ黒になった髪と顔を気にすることなく笑顔で話してくれた(左から)角井将治副将と、高橋塁主将
この日は強風で、グラウンドの土が激しく舞う中での練習。土で真っ黒になった髪と顔を気にすることなく笑顔で話してくれた(左から)角井将治副将と、高橋塁主将

■打倒松井に燃えた高校時代


 神奈川の高校野球を沸かせた2人だ。彼らが高3だった2013年の神奈川高校野球は、プロ注目の桐光学園・松井裕樹投手(楽天、WBC日本代表)を中心に話題が集まった年だった。高橋選手がいた桐蔭学園は、春の決勝で桐光学園に勝ち、優勝している。あの時、桐光の先発は松井投手ではなく、山田将士投手(青山学院大・新3年)。桐蔭のエース斉藤大将(明治大・新4年)がソロ本塁打、完封勝利と大活躍したが、試合後の取材で顔をくもらせ、本音を漏らしていたのを覚えている。「松井君と投げ合いたかった」と…。それだけ“松井裕樹”の存在は大きかった。夏はベスト4。土屋恵三郎監督が30年間着た「TOIN」ユニホームを脱いだ、大きな節目の年でもあった。


 副将の角井選手は、平塚学園の3番打者として活躍した。夏の準決勝で桐蔭学園にサヨナラ勝ちし、15年ぶりの決勝進出を果たす。決勝は横浜に0-3で敗れたが、桐光学園とは2年秋の準々決勝で対戦し、勝利している。松井投手に投げ勝ったエース熊谷拓也投手(法政大・新4年)は最後の夏も圧巻の投球を見せた。角井選手も俊足好打を発揮して打率3割を超える活躍をした。


桐蔭学園時代、松井裕樹擁する桐光学園に勝ち、春の県優勝を果たす(写真右)高橋塁主将(写真左は伊勢裕行捕手)
桐蔭学園時代、松井裕樹擁する桐光学園に勝ち、春の県優勝を果たす(写真右)高橋塁主将(写真左は伊勢裕行捕手)

 高橋選手と角井選手。いまも松井投手の活躍は「刺激になる」と即答する。高校野球で悔しい思いをした2人だったが、大学野球で再び神奈川から、横浜スタジアムから、全国を目指すことを決めた。高橋主将は「本気で野球をするのは、最後になるかもしれない。今年は野球人生の集大成となる1年にしたい」と語った。「2012年・大谷翔平世代」にも負けない熱さがあった神奈川の「松井裕樹世代」。神奈川高校野球を沸かせた選手が多く所属する神奈川大学リーグは、4月1日(土)、横浜スタジアムで開幕する予定だ。【樫本ゆき】


※神奈川大学リーグの日程は、3月23日に正式決定する。