球児の春到来で、阪神などが今秋ドラフト上位候補に挙げている注目右腕が152キロ発進だ。高校野球の練習試合が8日に解禁された。今春センバツ(21日開幕、甲子園)出場の県岐阜商エース高橋純平(2年)が、長良川球場(岐阜市)で飛龍(静岡)との練習試合に登板。いきなり自己最速タイの152キロを投げ込んだ。

 出番は9回にやってきた。高橋が5点リードの状況でマウンドに向かった。先頭打者を1球で左飛に打ち取ると、2人目の角田に投げた4球目のストレートだった。スタンドがどよめくのも無理はない。球場に表示された球速は「152キロ」だった。

 投げた高橋本人は「(152キロは)たまたまです」と涼しい顔だが、周囲は驚きを隠せない。小川信和監督(44)が「投げさせる予定はなかったのですが、今日は暖かく気候もよかったので」と明かすなど、予定されていなかったマウンドでの152キロ。「誰かが裏で操作したんじゃないですか」と語るほどの衝撃度だった。

 集まったスカウト陣にもインパクト大だったに違いない。阪神、中日、日本ハム、楽天、オリックス、ソフトバンクの6球団が視察。徹底マークを決めている阪神熊野スカウトは“恋人”について「腕の振りは抜群。この時期にこれだけ投げられる高校生はいないでしょ。甲子園で記録を出してくれる予感がします」との言葉を残した。センバツでの最速記録は12年大阪桐蔭・藤浪らが記録した153キロ。それを塗り替える可能性を秘めた逸材だ。

 高橋はこの日、ストレートの他にカーブ、スライダーなどを駆使し、飛龍打線を1回1安打1奪三振で無失点に抑えた。「甲子園までの試合では、投球練習ではできない打者との勝負感覚をとことん追求します」。センバツで全国の強者相手に投じる高橋の本気の1球を見逃せない。【上田博志】

 ◆高橋純平(たかはし・じゅんぺい)1997年(平9)5月8日、岐阜市生まれ。小学2年で野球を始める。梅林中では揖斐パワーボーイズに所属し、岐阜県選抜に選ばれた3年秋の大会で142キロをマーク。県岐阜商では1年春からベンチ入り。2年春は県決勝で逆転3ランを放ち優勝。夏は4強。昨秋の東海大会準Vに貢献。好きな音楽は三代目J Soul Brothers。好きな言葉は「一期一会」「一投創造」。球種はストレート、カーブ、スライダー、スプリット。遠投100メートル、50メートル走は6秒5。183センチ、76キロ。握力は右60キロ、左58キロ。右投げ右打ち。