球児の春到来だ! 高校野球の練習試合が8日に解禁された。今春センバツ(21日開幕、甲子園)に44年ぶりに出場する木更津総合(千葉)は、埼玉県川越市で行われた市川越(埼玉)戦に9-1で快勝。プロ注目の桧村篤史内野手(2年)が、先制の3ランを含む5打数3安打3打点と大暴れした。

 長く、厳しかった冬の成果をひと振りで見せた。1回裏、1死二、三塁の大チャンスで4番・桧村が打席に入った。市川越、登坂航大投手(2年)が投じた内角低めの直球をはじき返すと、力強い打球は92メートルの左翼フェンスを軽々と越えた。先制の3ラン。桧村が「真っすぐを狙っていました。いい感じに飛んだなとは思いましたが、ホームランとは」と驚けば、五島卓道監督(60)も「よく飛んだなあ!」と破顔一笑だった。

 これが高校通算6本目。昨秋までは、五島監督が「巧打タイプ。あんなに飛ばなかったよ」と評する「つなぎの4番」だった。だが昨年10月の関東大会決勝で浦和学院に1-10で大敗した悔しさから、午後7時半の全体練習終了後も8時半まで居残ってトスバッティングを続けた。毎週土日には、2年全員と朝の練習開始前に早出して素振りを重ねた。毎週末、1日推定2000スイングを懸命に続けた結果がこの日の1発。桧村は3安打3打点、チームも15安打9得点で15年の好発進を切った。

 浦和学院との関東大会決勝では内角に苦しみ、無安打に終わったが、その呪縛からも解き放たれた。「インコースをしっかり打てたのが良かった」と喜ぶ。180センチ、75キロの恵まれた体を生かした遊撃守備に、4番らしい長打力を加えて2度目の甲子園に挑む。「3回戦で敗れた2年前の夏の悔しさを晴らしたい」。冬を越えてたくましさを増した4番が、センバツでも大暴れする。【松本岳志】

 ◆桧村篤史(ひむら・あつし)1997年(平9)11月6日、千葉市生まれ。上の台小-幕張本郷中。木更津総合では1年夏の千葉県大会から背番号6を背負い甲子園3戦に出場。2年秋から4番。180センチ、75キロ。右投げ右打ち。