高校野球の対外試合が解禁となった8日、第87回選抜高校野球大会(3月21日から12日間、甲子園)に東北から出場する仙台育英(宮城)が15年初戦に臨んだ。沖縄でキャンプ中の仙台育英は、沖縄尚学と戦い7-2で勝利。エース右腕佐藤世那(2年)が、1回を3者凡退とパーフェクトに抑え、本番へ手応えをつかんだ。

 エースは変わらずエースだった。4-1とリードの7回表、佐藤世がマウンドに上がると空気が変わった。初球は高めの直球。最初の打者を4球で見逃し三振で仕留め、続く2人をいずれも3球で遊ゴロに打ち取る。わずか11球。「1イニングだけだったけど、いいものを習得できた」と、15年初登板を満足そうに振り返った。

 11月の神宮大会以来、約4カ月ぶりの実戦にもかかわらず、対打者の感覚は衰えていなかった。佐々木順一朗監督(55)も「ゾーンの使い方も良かったし、フォークもいいところから落ちてた。(昨年)秋の感覚と変わってない」と佐藤世の出来に、ほっとした様子だった。

 進化もみられた。久々の登板とあって「8割の力」で投げたが、それでも140キロが2度。佐藤世自身も「球に体重がのっていた。自分では130キロちょっとぐらいの感覚だったんですが…」とびっくりしたほどだ。この冬は、坂道ダッシュの自主トレをするなどし、下半身強化に努めた。体重も6キロ増やした。球威は確実に上がっている。

 昨秋は、地区予選から神宮大会決勝まで、公式戦全16戦に先発し、うち13完投。優勝候補校のエースとして、これまでの試合を徹底的に分析されるのは承知の上だ。「想定されているものをはるかに超すような、どこのチームも想像できないレベルにならないといけない」。本番まで、あと2週間。「全国制覇」へ、さらに投球を磨いていく。【高場泉穂】