近江(滋賀)・小川良憲(3年)は、完調ではなかったが4安打完封を果たした。昨夏の甲子園初戦(2回戦)では鳴門(徳島)を0封。夏春完封で、大阪桐蔭・田中誠也(3年)、敦賀気比(福井)・平沼翔太(3年)に続いた。

 バッテリーミス撲滅が小川と仲矢の目指すゴール。昨年秋の大会後に内野手から捕手に転向した仲矢は「小川の球の切れが良すぎて、まだ自分には完全に止められない」と言う。2回(捕逸)と5回(暴投)に出てしまったが、その直前には地味に光るプレーを見せていた。1死二塁で九産大九州・鹿毛への2球目。小川特有のスライダーをそらしそうになったが、反応よくミットに収めた。はじいていれば、1死で三塁。1-1の同点も覚悟しなければならなかった。「あれはよく止められた」と主将としても面目躍如だ。

 最速145キロのストレートとスライダーが得意球の小川だが、今大会は「左打者対策のシンカー」習得が間に合った。相手の左打者(先発は6人)は計22打席で3安打に抑えた。昨夏は3回戦の聖光学院(福島)戦で連続完封目前の9回に逆転サヨナラ負けの悪夢も春1戦目で振り払った。

 2回戦は県岐阜商の高橋と投げ合うことになる。小川は「とにかく自分がゼロに抑えないと」とエースの役目を口にした。

 ◆夏春連続完封 近江・小川が昨夏の鳴門戦以来の完封勝利。74年夏の金属バット採用後、夏春連続完封は82年荒木大輔(早実)84年桑田真澄(PL学園)04年ダルビッシュ有(東北)だけだったが、今大会では田中誠也(大阪桐蔭)平沼翔太(敦賀気比)に次ぎ3人も記録した。