早実(西東京)のスーパー1年生、清宮幸太郎内野手が、来春センバツ出場が懸かる秋季東京大会の日程を動かした。日本で初開催する第27回U18(18歳以下)ワールドカップ(28日~9月6日、甲子園ほか)に出場する高校日本代表に内定した清宮のために、東京都高野連が秋季高校野球東京大会1次予選の日程変更を検討していることが18日、分かった。当初は9月5日開幕だったが、早実の試合に限り、翌週の同12日以降に変更する見通し。日程面の不安を払拭(ふっしょく)し、初の金メダル獲得に集中する環境を整える。

 清宮はここまでの甲子園4試合で打率5割、2本塁打、8打点と驚異的な活躍を続けている。PL学園(大阪)清原和博氏(48=元オリックス)、星稜(石川)松井秀喜氏(41=元ヤンキース)も逃した1年生野手としての高校日本代表入りが内定。初の金メダルを目指して、本塁打量産が期待されている。

 ただ下級生が代表入りする際に、これまで最も不安視されてきたのが来春センバツの重要参考資料となる秋季大会への影響だ。秋季東京大会1次予選は9月5日に開幕する。U18W杯の決勝は6日の予定で、5日に早実の試合が組まれれば、当然新チームの主力になる清宮は、出場できない。

 そのため、東京都高野連関係者は「早実の試合は、1週間遅らせることを考えています。正式に選ばれれば名誉なことだし、日本のために頑張ってもらいたい」と全面バックアップを約束。早実の試合に限り1週間後の12日以降に変更し、清宮も出場できるフェアな形をつくる考えだ。

 これまでもグラウンド状況などで1次予選の日程を遅らせたことはあったが、同関係者は「代表に選ばれたから、という理由では初めてです。今まで選ばれたのは3年生ばかりで、新チームへの影響はなかった」と説明。清宮の1年生離れした活躍が、前代未聞となる日程変更にまで及ぶことになった。

 来春センバツを含めて、5季連続の甲子園を目指す清宮にとっては、これ以上ない朗報だ。近年では13年に2年生で選出された前橋育英(群馬)高橋光成投手(18=現西武)が、台湾からの帰国翌日に秋季大会に臨み、1点差の敗戦でセンバツ出場が絶望になったことがあった。今回は日本開催で移動の負担は少なく、日程面がクリアになれば、秋季大会への影響は最小限に抑えられる。

 秋季東京大会1次予選の抽選会は29日に行われ、予選突破した48校が10月10日からの本大会に出場する。今日19日に仙台育英(宮城)との準決勝を迎える清宮にとっては、夏の甲子園優勝、高校日本代表で金メダル、さらに来春センバツ出場と、着々と活躍の舞台が整えられることになった。

 ◆U18W杯 世界野球ソフトボール連盟(WBSC)が主催する、18歳以下の世界一を決める大会。今回が第27回で、初めて日本で開催される。米国、キューバなど12の国と地域が参加。日本代表は甲子園不出場選手も選考対象で、最終的に20人が選ばれる。

<清宮が変えた>

 ◆報道対応 西東京大会では全試合、一般のファンが立ち入り禁止の区域で監督とともに報道陣に対応。混乱を避けるための措置。

 ◆宿舎 甲子園滞在中の宿舎が警備の都合で変更。甲子園まで徒歩で約5分の「甲子園ホテル夕立荘」から、バスで約20分かかる尼崎市の「都ホテルニューアルカイック」へ。東西東京代表の宿舎を入れ替えた。徒歩での移動を避けるため。

 ◆抽選会 報道陣の殺到を避けるため、各校の選手たちが抽選会場入りしても、清宮だけは別室で待機。開始10分前に入場して早実の座席に加わった。