第27回U18(18歳以下)ワールドカップが開幕した。高校日本代表の「4番DH」で出場した早実(西東京)清宮幸太郎内野手(1年)が、2四球2打点で7回コールド発進に貢献した。4回は2死満塁から押し出し四球を選び、大会初打点。5回2死一、三塁では遊撃への適時内野安打を放った。打力ばかりか、堪能な英語力でも国際大会で存在感を発揮した。今日29日は前回覇者の米国と戦う。

 4番は、帽子を取ってファンの声援に応えた。世界大会デビュー戦で1安打2四球2打点。ブラジル陣営に警戒される中で、清宮は抜群の選球眼と勝負強さを見せたが「今日は何も言うことはないです。(西東京大会から)いつも初戦はダメですよね」と相変わらずの辛口評価だった。

 初打点を挙げた第3打席が不満だった。カウント3ボールからの4球目、外角低めのボール球を空振りした。結果的には押し出し四球となったが「ストライクだと思ったんですけど、見切れていなかった」。その後、ベンチで西谷監督に呼ばれ「相手が制球に苦しんでいるのに、あそこは振る場面じゃない。打者としての資質が問われる」と厳しく指摘された。期待されているからこその“愛のむち”を受け止めた清宮は「四球もヒットだ、という気持ちでいければ良かった」と反省した。

 「4番の自覚」が芽生えていた。6回無死満塁、一打出ればコールド勝ちが決まる場面で空振り三振。「『やってやるぞ、決めてやろう』と思いすぎたのかもしれない」と振り返った。3番を任された早実では「こんな気持ちはなかった」という。「周りに良いバッターばかりで、個人の結果を求めてしまった」と本音をこぼしたが、最後は「本当に良い経験をさせてもらっている。次、頑張ります」と切り替えた。

 常に視線を世界に向けてきた。将来のメジャー挑戦を目標に掲げる清宮は、早実中等部では英語部に所属。野球と同時に鍛えた語学力を生かし、この日は篠原主将の英語での宣誓文をチェックする「先生役」を務めた。さらに、試合前は主催者のWBSCの外国人スタッフやカナダ代表の選手と流ちょうな英語で談笑。「海外の方に声をかけられるのはうれしい。英語を勉強したのが生きてますね」と、うれしそうに言った。移動のバス内でも「清宮は英語の勉強をしている」とチーム関係者が驚くほど、自分を磨き続けている。

 今日29日は、対戦を心待ちにしていた1次リーグ最大の難敵・米国に挑む。清宮は「メジャーに行くような一流に勝てば勢いに乗れる」と闘志をみなぎらせた。目標の打点王と世界一に向かって、前だけを見て突き進む。【鹿野雄太】