阪神など複数球団が今秋ドラフト1位候補に挙げる県岐阜商・高橋純平投手(3年)が8日、日本高野連にプロ志望届を提出した。岐阜市内で会見し、12球団OKの姿勢を打ちだし、日本のエースになる意気込みを明かした。6日に閉幕した第27回U18(18歳以下)ワールドカップの決勝・米国戦に登板できなかった悔しさを糧に、プロでも日の丸を背負う決意を語った。ドラフト会議は10月22日に行われる。

 強い心残りを胸に抱いて、12球団注目の逸材はプロへの1歩を踏み出す。高橋はプロ表明会見で「大事な試合を任される投手になりたい。まずはチームのエースになれるように努力します。そこから日本のエースになれるように頑張りたい」と言った。プロ志望届の提出後、明かした抱負には無念の響きがあった。

 1-2で米国のカベに阻まれ、世界一を逃した第27回U18W杯決勝。1点の攻防に死力を尽くす日本代表を、エースナンバーを背負った右腕は見守るだけだった。声援に声をからし、用具運びなどサポートに走りながら「投げたい」思いが心を焼いた。出番は巡ってこなかった。

 7月2日に左太もも肉離れを起こし、本調子には程遠かった。「ケガがなかったらと思うこともあった。でも、西谷監督の信頼を得られなかった」。選抜大会出場をかけた昨秋の東海大会は全4試合中3試合で完投。通算33イニングで35三振、防御率0・27の成績で準優勝を飾った。「外角低めの球が、うなりをあげていた」(中日中田スカウト部長)と翌秋の目玉候補の評価を確定させた152キロ右腕からすれば、世界一を目指す大会で4イニングの登板に終わることなど考えられなかった。

 高校最後の晴れ舞台の不完全燃焼を高橋はバネにする。W杯で最優秀防御率(0・00)を獲得した中京大中京(愛知)・上野翔太郎(3年)の「空振りを取れる直球」(高橋)を目に焼き付けた。トップと戦う姿勢を収穫にした。「体をしっかり作りたい。時間がない」と今日9日から再び本格的な練習に取り組む。

 高校1年で当時の監督に伝えた進路希望を、プロ志望届提出で形にした。「12球団OKです。できれば1位で行きたいですが、順位にこだわりはないです」とドラフトを待つ。阪神藤浪、日本ハム大谷ら黄金世代といずれ侍ジャパンのエースを競う。【堀まどか】

 ◆高橋純平(たかはし・じゅんぺい)1997年(平9)5月8日、岐阜市生まれ。小学2年から梅林スポーツ少年団で野球を始め、梅林中時代は揖斐本巣パワーボーイズに所属。県岐阜商で1年春からベンチ入り。今春センバツ1回戦の松商学園戦で150キロを2度マーク。今夏は左太もも肉離れの影響もあり甲子園出場を逃したが、U18W杯代表に選ばれた。直球の最速は152キロ。183センチ、76キロ。右投げ右打ち。