大館鳳鳴の左腕エース佐藤宏樹(2年)が2試合連続となる4安打完封で4強進出を決めた。最速138キロの速球に縦のスライダーを織り交ぜ、由利工を下した。チームは21世紀枠でのセンバツ出場につながった10年秋以来、5年ぶりの東北大会(10月10日開幕、青森)出場に王手をかけた。

 大館鳳鳴が県南地区第1代表の貫禄を示した。今秋からエースナンバーを背負う佐藤宏が、地区予選から1人で投げ抜き全5試合完投。前日20日の金足農戦に続く完封勝利で準決勝進出を決めた。連投の佐藤宏は「球の走りは良くなかった。真っすぐより縦のスライダーで打たせて取ることが出来た」と振り返った。

 初回先頭に右前打を許したが、6回終了までこの1安打に抑えた。一方で中盤4イニングで計6四死球。「無駄な高めの真っすぐを投げてしまった」と制球を課題に掲げる。だが連続四死球で招いた5回無死一、二塁のピンチでは、送りバントを阻止して三振併殺。先頭に四球出塁を許した6回無死一塁の場面でも投前バントを二塁封殺。さらに2死一塁から、走者をけん制死に仕留めた。「けん制は自信がある。バントも転がす方向を読んで球種やコースを投げ分けています」と頭脳的投球を披露した。

 178センチのすらりとした長身イケメン。まだ最速は138キロだが、しなやかなフォームが魅力だ。今夏の県2回戦の秋田中央戦では1-2の場面で救援し、1点差負けの悔しさを味わった。一方、経験を重ねて「ピンチでも強気で投げられるようになった」と自信を深めた。

 「打たれてもシングルならOK。ランナーが出たらギア1つを上げる」と佐藤宏。今夏甲子園を沸かせた秋田商・成田翔(かける=3年)ら「左腕王国」として知られる秋田に、また楽しみなサウスポーが現れた。【佐々木雄高】

 ◆佐藤宏樹(さとう・ひろき)1999年(平11)2月18日、秋田・大館市生まれ。桂城小4年から野球を始める。大館一中では軟式野球部で投手兼内野手。大館鳳鳴では1年夏からベンチ入りし、今秋からエース。家族は両親、妹。左投げ左打ち。178センチ、66キロ。血液型AB。