日大三島(東部1位)は中川真杉投手(2年)がノーヒットノーランを達成し、浜松修学舎(西部5位)を下した。変化球、直球ともにキレがあり、打者28人で仕留めた。打線も今野勇斗内野手(2年)の本塁打などで得点を重ね、2年連続3度目の東海大会出場を決めた。今日27日に決勝と3位決定戦が行われる。

 9回裏2死。その瞬間を見逃すまいと、球場全体がざわついた。だが、中川は笑みを浮かべ、頭の中は冷静だった。迎える打者は28人目。フルカウントで、土屋大樹捕手(2年)は直球のサインを出した。しかし「相手は真っすぐを狙っている。投げたら打たれる」と中川は首を振り、スライダーで6つ目の三振を奪い、ノーヒットノーランを達成した。ガッツポーズが飛び出したが「あまり実感がないけど、うれしい。9回まできちゃったら絶対やってやると思っていた」と振り返った。

 2回以降は、毎回打者3人で抑える完璧な投球だった。中盤には、今大会からぶっつけ本番で投げてきた、球速が計測不能なスローカーブも披露する余裕があった。しかし、これまでの中川は、体力がないことが弱点だった。先発しても、5回までもたずに降板。今夏まで速球が武器の絶対的エース小沢怜史投手(3年)がいたこともあり、完投はゼロだった。

 そのため、連日背筋や腹筋を200回こなし、走り込みなど、苦手だった持久系の練習を積むことで体力をつけてきた。さらに小沢の後ろ姿を見て「抜くところを抜いて、抑えるところは抑えることを学んだ」という。この日も9回に最速137キロを出し、スタミナがついたことを証明。「これで少しは怜史さんに近づけたかな」と笑った。川口剛監督(38)も「中川はメンタルも強い。総合力で抑えられる、投手らしい投手」と評価した。

 東海大会出場と同時に、決勝進出も決めた。32年ぶりの県制覇に向けて、中川は「決勝も絶対勝ちます」と力強く宣言した。【保坂恭子】

 ◆中川真杉(なかがわ・ますぎ)1998年(平10)5月13日、石川県生まれ。幼少時に三島市へ転居した。三島南小2年時から、三島南シャークスで野球を始める。小3から投手に専念。三島南中に進学し、13年夏に県中学野球で優勝した。家族は両親と姉。176センチ、69キロ。血液型A。