豪快なアーチで、充実の1年を締めくくった。今夏甲子園で4強入りした早実(西東京)の清宮幸太郎内野手(1年)が28日、合宿先の千葉・鴨川市のグラウンドで年内の練習を打ち上げた。フリー打撃では45スイング中、場外を含む7本の柵越えをマーク。高校入学から通算22本塁打を放った16歳は、今年を表す漢字に「躍」と記した。

 清宮が、プロ級の飛距離を見せつけた。ロッテが秋季キャンプで使用する両翼97・5メートルの鴨川市営球場で、気持ちよさそうに快音を響かせた。右翼席後方の高さ7メートルの防球ネットを越える、推定130メートルの場外弾を放った。「ここに来て、打球の伸び方が変わってきた。パワーアップしている」と手応えを口にした。練習の合間に歌を口ずさむなど、笑みが絶えなかった。

 規格外のパワーに、周囲も驚きを隠さなかった。球場関係者は「今年のロッテのキャンプでは、清田選手が場外まで打った」と証言する。左右は違えど、飛ばす力は今季ベストナインに輝いた一流選手と同レベルにある。和泉実監督(54)も「捕まえた時はすごい打球だね」と目を細めた。

 短期間で体つきも変わった。11月から自校のグラウンドが改修工事で使用できず、校内で基礎体力の強化に励んだ。バットも振れず、階段ダッシュなどで下半身を鍛えた。ユニホームは太もも回りがパンパンで明らかに厚みを増した。「体重は変わってないです(97キロ)。ユニホーム(の素材)じゃないですか」と照れ笑いした。

 打撃改造にも着手している。「木と同じように金属を振ると、軽い分、力が抜けちゃう感じがした。ヘッドを意識的に返すようにした」と手首の使い方を変えた。「最近測った」というスイングスピードは、チーム2位の138キロ。「1番じゃなかったんです」と残念がったが、試行錯誤を続け、来春以降も本塁打を量産するつもりだ。

 2015年、1年生にして甲子園のスターになった。プロに進む先輩に交じって、高校日本代表の4番も務めた。「自分でも、こんな経験ができるとは思っていなかった」と振り返った。今年の漢字を問われると「飛躍、躍動の『躍』ですね」と堂々と記した。来春のセンバツ出場は絶望的だが、視線は夏に向けられている。「来年(甲子園に)戻って優勝するための活力だと発想を変えて、頂点を狙っていきたい」。清宮の新たな挑戦は、すでに始まっている。【鹿野雄太】