健大高崎は「機動破壊」だけではなかった!

 高崎健康福祉大高崎(群馬)の青柳博文監督が、投手の先発完投型から継投策へと方針転換したことが、近年の好成績の要因であるとリポートした。

 野球の指導者講習会が23日、千葉・幕張メッセで行われ、青柳監督が、医科学セッションで「選手育成とコンディショニング~投手の連投対策」と題して報告を行った。

先発完投型から継投策へと転換した同校のいきさつや効果などを語った。

 きっかけは、12年春のセンバツで4強入りしたエース投手を酷使して故障(疲労骨折)させてしまったことだという。愛知県の医科学研究所で長期研修を受けた外部コーチの助言もあって「投手の肩は消耗品」「一人 の絶対的エースから投手陣としての戦い方を模索」などに至った。

 そこから「野球を9イニングと考えないで3イニングを3セットと考える」「先発完投を美学とせず酷使とする」「先発は5回までの固定概念を捨てる」という概念を設定。投手陣の役割を、スターター、ミドル、セットアップ、クローザーの4つとした。さらに役割分担についてはセイバーメトリクス(統計学)を用いた。例えば先発投手の指標はWHIP(安打+四球をイニング数で割る)が1・2未満など。

 実際の運用として14年夏の群馬大会を挙げた。6試合すべて継投で総失点わずか6で甲子園出場を決めた。3回戦では前年全国制覇を果たし、絶対的エース高橋光成投手(現西武)が登板した前橋育英を倒している。

 青柳監督は「うちは機動力野球と言われていますが、継投を重視してから勝てるようになったと思っています」と力説。さらに提言として「甲子園のベンチにトレーナーが一緒に入ってやれる時代が来ればいい」と話した。