今夏の高校野球新潟県大会で8強入りした帝京長岡の左腕エースで4番のバンゴーゼム・ゲレック・高投手(3年)が、新潟医療福祉大(関甲新学生野球リーグ)の推薦入試に合格した。アメリカ人の父を持ち、恵まれた体格と身体能力でプロからも注目された大器が、4年後のプロ入りを目指して地元で腕を磨く。

 バンゴーゼムの目標は明確だ。「笠原さんのように、信頼される投手になってプロ入りする」。2日に新潟医療福祉大の推薦合格が決まった。すぐに頭に浮かんだのが、ドラフト4位で中日に入団した同大のエース左腕、笠原祥太郎(4年)だった。

 10月にハードオフ新潟で行われた作新学院大戦を観戦した。ブルペンでの投球を見て、「勢いのあるすごい球だった」と衝撃を受けた。笠原の最速は147キロで、自身は138キロ。「笠原さん以上の速さ、150キロを大学4年間で出したい」。そして「力で勝負できる投手になりたい」と理想を掲げる。

 185センチ、87キロの恵まれた体格。粗削りな部分も多く、プロ数球団が未完の大器と注目した。帝京長岡ではエースで4番。左投げ右打ちながら、距離96メートルの同校の左翼ネットを軽々越える長打力に、打者としての将来性も買われた。ただ、「まず投手で頑張りたい」と大学では、ひとまずバットを封印するつもりだ。

 同大にはプロ注目の150キロ右腕・漆原大晟(2年=新潟明訓)ら、笠原が抜けても好素材がそろう。「レベルの高い中で競争すれば力がつく。まず体をつくるところから始めたい」と覚悟はできている。

 そのための努力はすでに始まっている。夏の県大会後から後輩たちの練習に参加。筋トレと投球フォーム改善に取り組む。最後の夏は準々決勝で、優勝した中越に1-10で7回コールドで敗れた。当時のフォームをビデオで見て、「体がくの字に曲がって、肘も下がっていた」。修正のためフォームを動画撮影し、チェック。そしてまた撮影と、その作業を繰り返す。

 今秋まで監督を務めた帝京長岡の中島茂雄顧問(42)は「大学では強い精神力も必要。意識して努力してほしい」とエールを送る。入学後はアパートで1人暮らしになるため、グラウンド、屋内練習場まで徒歩圏内に住まいを決めた。「勝てる投手になるように努力する」と、大学球界での活躍を誓った。【斎藤慎一郎】

 ◆バンゴーゼム・ゲレック・高(こう)1998年(平10)5月28日、見附市出身。見附市立新潟小4年で野球を始め、見附中では一塁手と投手。帝京長岡では1年の春からベンチ入り。昨夏は背番号3、今年の春と夏と背番号1。好きなプロ野球選手は西武菊池とソフトバンク柳田。185センチ、87キロ。左投げ右打ち。血液型O。