昨秋の九州大会で4強の熊本工が27日、センバツ出場校に選ばれた。春は10年ぶり21度目、春夏通算41度目の甲子園出場になった。選手としても2度センバツを経験している同校OBの安田健吾監督(39)は「エースの山口を中心にしっかり守りからリズムをつくりたい」と意気込んだ。

 熊本は、今でも昨春の熊本地震からの復興の途中にある。熊本市の自宅マンションで被災し、一時避難所や車中での生活を強いられたエース山口翔投手(2年)は「熊本に元気が届けられるようにプレーし、全国制覇したい」と、チームの思いを代弁した。

 山口自身、奮い立つ理由はそれだけではない。昨夏の準々決勝、秀岳館戦で1回途中から延長10回までロングリリーフした。力投報われずサヨナラ負けを喫したが、試合後にソフトバンクのドラフト3位九鬼隆平捕手(当時3年)から「秋がある。頑張って甲子園に出ろ」と激励され、強い気持ちを古豪復活につなげた。

 ブルペンに入る前は、あこがれるドジャース前田健太投手(28)の「マエケン体操」を欠かさず、日本ハム大谷翔平投手(22)の投球フォームを参考にする。プロ注目の最速149キロ右腕がいよいよ夢の大舞台に立つ。【菊川光一】