第89回選抜高校野球(3月19日開幕、甲子園)の選考委員会が27日、大阪市内で行われた。昨秋の東北大会を制した仙台育英(宮城)は、2年ぶり12度目の出場が決定。昨秋の明治神宮大会1回戦で敗れた、履正社(大阪)へのリベンジの強い思いを秘めて甲子園に乗り込む。

 あの秋の敗戦を胸に秘めた仙台育英に、春が訪れた。東北大会を優勝して当確だった出場は決定に変わった。佐々木順一朗監督(57)は「やっと気が引き締まる。そんな気持ちです」と言った。技術、体力面など「根を生やす時期」(同監督)の冬を越え、約2カ月後に控えた甲子園へ、この日が本当のスタートだ。

 昨秋の明治神宮大会を制し、センバツの優勝候補・履正社への強い思いがある。西巻賢二主将(2年)が明かした。「履正社の竹田を、選手同士で口にすることがある」。エース右腕竹田祐(2年)には、明治神宮大会1回戦で5安打に封じ込まれ、1点しか取れなかった。「投手のレベルが違う。打撃は甘い球を逃さない」と同主将は、全国レベルを痛感させられた。

 昨秋の公式戦終了後は、各自が課題克服に集中した。1番打者を務める西巻主将は「内角球のさばき方」の上達に力を入れ、ティー打撃を地道に繰り返してきた。エース左腕長谷川拓帆(2年)は履正社戦の与四球8を反省し「直球、変化球の精度を上げた」と週5、6日はブルペンで100球程度を投げ込む。だからこそ、雪辱を望む。西巻主将は「履正社の竹田ともう1度対戦したい」。

 1つ上の代は、佐藤世(オリックス)平沢(ロッテ)を擁し、準優勝した15年夏と比較された。少なからず重圧となり、16年は春も夏も甲子園を逃した。だが今は「戦っている選手が違う」と西巻主将は言う。佐々木監督は「1人が活躍するというよりは、みんなでやっているような感じ」と、現チームの団結力を評価する。

 15年夏、東北勢の悲願「大旗の白河越え」にあと1歩届かなかった。長谷川は「仙台育英としても、東北勢としても優勝したことがない」と理解している。県大会、東北大会とは違い、西巻主将が「特別な場所」と力を込める甲子園。みちのくの大きな夢を背負っている。【久野朗】