静岡(静岡)が公立校の星になる。19日に開幕した第89回選抜高校野球大会には、静岡を含めて8校の公立校が出場しているが、20日の第2日を終えて既に4校が敗退した。私学優位の傾向は続くが、静岡には揺るぎない伝統と高いチーム力がある。第5日の1回戦不来方(24日)を突破し、文武両道を貫く「県立静岡高校」をあらためて全国にとどろかす。その決意を胸に選手たちは調整を続けている。

 今大会も公立校が苦戦している。出場は32校中8校。第1日に熊本工が敗れ、第2日は、高岡商(富山)多治見(岐阜)中村(高知)が敗退。多治見に関しては、報徳学園(兵庫)に0-21で大敗した。この事実を知らされ、小柳廉主将(3年)は「マジですか?」と驚きの表情を浮かべた。ともに昨秋の東海大会に出場しており、意識する相手だったからだ。

 現段階で勝ち残っている公立校は、呉(広島)だけだ。過去20年を見ても、優勝は09年の清峰(長崎県立)のみで「私学優位」の傾向は続くが、小柳は公立校のプライドをのぞかせて言った。「公立校同士だと共感する部分はあります。(静岡は)東海代表でもあるし、公立の代表でもあると思っています」。

 静岡にも裁量枠入試の制度はあるが、授業やテストは一般入試で入学した生徒と同じで、宿題の量も変わらない。森康太朗捕手(3年)も「授業や宿題はつらいですが、最後までしっかりとやっています」と胸を張る。栗林俊輔監督(44)も「私学には私学の大変さがありますが、公立校の代表として、選手は文武両道を目指して頑張っています」と話している。

 20日の練習では、実戦形式のシート打撃で4番の成瀬和人外野手(2年)が4打数3安打と調子を上げてきた。不来方とは「公立対決」となるが、栗林監督は「お互いの良さを発揮して、素晴らしい試合になればと思います。もちろん、うちが勝てれば一番いいですね」と言った。1886年(明19)創部で32校中、最も歴史ある静岡。全国の公立校に勇気を与えるためにも、初戦突破は絶対条件だ。【鈴木正章】