5月に行われる県大会出場をかけた各県の地区大会が幕を開けた。今春のセンバツで初の8強に進出した盛岡大付(岩手)は、5月2日の盛岡地区大会初戦で盛岡北と盛岡市立の勝者と対戦する。県勢初の3季連続甲子園を狙う同校は競争が激化しており、4月から主力組の練習試合に2人の岩手出身の新入生が同行。軟式の水沢南中出身・及川温大(あつひろ)内野手と、岩手ボーイズ出身の阿部秀俊投手(ともに1年)が、地区大会でのベンチ入りを狙う。

 破壊なくして、創造なし-。関口清治監督(39)の脳裏には、日本一への青写真が描かれていた。8日に入学式が終わると、岩手出身の新星2人を主力組の練習試合で即、抜てきした。「夏までの補強ポイントが内野手と、左投手。2人が食い込んでくれると、他のメンバーの尻に火が付くし、チームの底上げにもつながる」と意図を説明した。

 180センチ、75キロと恵まれた体格の及川は豪快なスイングが持ち味。センバツの3試合で固定できなかった二塁の座を狙っており、既に本職の遊撃ではなく二塁での練習に取り組んでいる。「豪快な盛岡大付の打撃に憧れて入学しました」とあどけない笑顔を見せる。関口監督も「打撃は1年生の中で1番。思い切りがあって面白い」と認める。

 左上手投げの阿部は166センチと小柄だが、キレのある直球と縦に割れるカーブが売りだ。最速は130キロながら「子供の頃から球の回転を意識してキャッチボールをしてきた」と直球の質に自信を見せる。関口監督も「球速以上に手元でピュッとくる。3年生よりいい球投げますよ」と絶賛する。

 昨夏から劇的な試合で甲子園を沸かせ「盛付劇場」の異名が定着した。今春センバツでは先発9人中岩手出身は2人だけだったが、「盛付劇場」効果で県内の有力中学生が集結するようになってきた。岩手出身の新星2人は「東北勢初の優勝旗を地元岩手に持って帰りたい」と目を輝かせた。【高橋洋平】

 ◆岩手・盛岡地区大会 28日に開幕し、15校が参加する。トーナメント4強と、敗者復活戦の勝ち上がり4チームの計8校が県大会に出場する。今春のセンバツに選手10人で出場した不来方(こずかた)は新入生6人を加え、28日の初戦で平舘と対戦する。