東北が気仙沼を3-2で下し、36年ぶり5度目の優勝を果たした。同点で迎えた9回裏1死満塁、そこまで2安打を放っていた1番高橋圭内野手(3年)に打席が回ってきた。「ここで絶対決める」と振り抜いた打球は、中前に抜けるサヨナラ打になった。

 どん底からはい上がった優勝だった。昨夏県大会初戦は仙台青陵に0-7、昨秋県大会は初戦で東北学院に0-7で、ともに7回コールドで敗退。これではいけないと、蔵重郁也主将(3年)を中心に「全員でしっかり野球に向き合おう」と話し合った。

 日野明監督(38)は「選手たちから(練習の)メニューを増やしてくれと言ってきた。もともと真面目な子たちだったが、必死で練習するようになった」と振り返る。冬場はジャンプスクワットや、ほふく前進など、例年よりも負荷のあるメニューを全員でやり抜いた。

 今大会は初戦を突破すると、2回戦で優勝候補・仙台商を破り、勢いそのまま頂点に立った。蔵重は「一戦ごとにみんな成長した」という。日野監督は「ここで満足するような選手たちではないです」と話し、夏へ向け、さらなる進化に期待を込めた。【林野智】