第99回全国高校野球選手権(7日開幕)の甲子園練習が2日、行われた。県勢初の3季連続出場となる盛岡大付(岩手)が登場。30分間を均等に守備、打撃、投球練習にあてた。高校通算60本塁打の3番植田拓外野手(3年)は柵越えを放ち、好調をアピール。最後の夏で、通算6人目となる3季連続本塁打を放って、悲願の東北勢初優勝に導いてみせる。今日3日に日大山形、青森山田、明桜が、明日4日に仙台育英が登場し、同日に組み合わせ抽選会が大阪市内で行われる。

 甲子園が植田を待っていた。今春の選抜以来5カ月ぶりに踏んだ黒土の感触をかみしめながら、植田は無心でバットを振った。その瞬間、激しい金属音が響くと、打球は無人の左翼スタンドへ一気に突き刺さった。球を触ったのは、岩手大会決勝の7月24日以来。手のしびれが恋しかった。

 植田 やっぱり甲子園が一番最高。早く試合がしたくてウズウズしている。チームの勝利が最優先だけど、早く1本打って、レジェンドたちに追い付きたい。

 過去の偉人と肩を並べる。昨夏の創志学園(岡山)との2回戦に始まり、今春の履正社(大阪)との準々決勝でも本塁打を放った。今大会でもアーチをかけると、元巨人の桑田真澄氏(49)らに並び、過去5人しかいない3季連続での甲子園本塁打経験者となる。「ヒットの延長がホームラン。履正社の安田(尚憲、3年)を超えたい」。62本で打ち止めとなったプロ注目の安田を意識し、記録達成に闘志を燃やした。

 自信もある。今春は打ち気にはやってボール球に手を出していたが、夏前には低めのボール球の見極めを意識し直した。打撃練習では安打を打った打者より、低めを見切った打者に「ナイスバッター」と声が飛ぶほどチームで徹底。悪癖を克服して臨んだ岩手大会ではなんと、8安打中4本が本塁打と打ちまくり、輝きを取り戻した。関口清治監督(40)は「低めの意識は徹底できている。夏の大会前は去年のチームの方が強いと思ったけど、今は今年の方が強いと思っている」と自信を見せた。