盛岡大付(岩手)の背番号1の右腕、平松竜也(3年)が戦闘態勢に入った。5日は神戸市内で調整し、7月24日の岩手大会決勝以来12日ぶりにボールを投げた。10分間、キャッチボールだけだったが「明日は遠投。あさってブルペンに入ろうと思う」と明るい表情で話した。

 春に右肩を痛めたこともあり、負担を避けてノースロー調整を続けてきた。1回戦が9日に決定。日程を逆算してボールを握った。「肩の痛みはない」と言い、初戦が昨夏の覇者・作新学院(栃木)との対決となり「強いところと当たるのがうれしい」と言った。

 6月の東北大会準々決勝で復帰登板を予定していた。チームは初戦(2回戦)で敗れ、実現しなかった。だが平松は「投げなくて正解かな」と笑う。2カ月前はまだ右肩の状態が万全ではなかったといい「いいピッチングができなかったら自信を失っていた」と話す。満を持して、7月の岩手大会4回戦で3月のセンバツ以来の公式戦マウンドに立ち完投した。決勝では先発して6回を無失点。甲子園出場の立役者になった。

 左腕三浦瑞樹(3年)とのダブルエース。作新学院が左打者4、5人をスタメンにそろえるため、関口清治監督(40)は「先発はどっちがいいのか」と決めかねている。だが平松は救援でも構わない。「瑞樹からスイッチした時、流れを変えないようにすればいい」。最速145キロを誇る右腕には、心にゆとりがある。【久野朗】