延長15回引き分け再試合は、能代松陽が6-3で湯沢に逆転勝ちし、8強進出を決めた。17日の引き分け試合を投げ抜いたエース左腕佐藤開陸(かいり=2年)が、勝ち越し直後の7回から3番手救援。自ら2点適時打を放つなど、残り3回を2安打1失点にとどめて逃げ切った。

 身長165センチの小柄なエース佐藤が投打でチームを引っ張った。延長15回引き分け再試合に終わった17日は計255球を投げ、18奪三振12安打5失点(自責3点)完投。この日は逆転直後の7回から登板し、3回を2安打1失点で切り抜けた。2戦(18回)で計20奪三振、289球目で勝利をものにした佐藤は「準備はしていました。全身、筋肉痛でしたが投げたら気にならなかった」とアドレナリンを放出させた。

 8番打者としても活躍した。8回2死一、三塁で中越え三塁打を放って突き放した。1戦目同様、序盤から追う展開を強いられる中、工藤明監督(41)は「開陸君が1人で野球をやって1人で勝った」と評価する一方、野手陣の奮起を求めた。「力はあるのに発揮する力がない。どうせ発揮できないなら練習しても無駄」と前日18日はあえて全体練習を行わなかった。高みを目指すチームに笑顔はなかった。7回2死二、三塁、左中間に逆転二塁打を放った2番佐々木洸主将(2年)は「自分が引っ張っていけるように行動で示したい」と気を引き締めた。

 春からエース番号を背負う佐藤も夏は登板機会がなかった。今日20日の準々決勝は秋田西と対戦する。より多くの実戦経験がチームを成長させる。佐藤は「自分がこのチームを勝たせる。優勝して東北大会に行きたい」と連投を誓った。【佐々木雄高】