花巻東が3年ぶり9度目の優勝を果たした。高橋樹也(20=広島)を擁して甲子園に出場した15年夏以来、7季ぶりに県制覇した。

 15年秋から、ライバルの盛岡大付、一関学院に譲っていた岩手王者の座。佐々木洋監督(42)の言葉には実感がこもっていた。「10年ぐらい勝っていなかった感じ」。

 15年夏を終えてから苦しい日々が続いた。昨夏の岩手大会はまさかの初戦(2回戦)敗退を喫し、今夏は3回戦で姿を消した。昨春の東北大会は、準決勝で東陵(宮城)にコールド負けも味わった。今春の県大会は3位決定戦で涙をのみ、東北大会にも進出できなかった。

 この日は6回に2点を先制し、1点差に詰め寄られた7回に1点を加え、8回には3連打を含む4本の安打で3点を奪って試合を決定付けた。2番手で登板し、6回に適時打を放った左腕田中大樹(2年)は「自分たちが入学してから、1度も優勝したことがない。先輩の思いを背負った」と明かした。佐々木監督も「強い花巻東を取り戻すという気持ちが本人たちにあって」と言い、選手には県制覇を成し遂げる強い意志があった。

 現チームに飛び抜けた選手はいないが、投手陣は継投で乗り切る。決勝で6犠打を記録するなど攻撃は堅実。今大会の準決勝までサヨナラ勝ちを含む3試合すべてが2点差と、競り合いには強い。

 上位3校が出場する東北大会(10月13日~、福島)には、決勝に進出した時点で権利を獲得した。来春のセンバツは第90回の記念大会で、2つ割り当てられていた東北の一般枠は3つに増えた。チャンスが広がった。田中は「センバツで優勝を狙っている。この大会の優勝はあくまでも通過点」と言った。甲子園のかかる東北大会で、さらに輝きを取り戻す。