第100回全国高校野球選手権記念大会が5日、甲子園で開幕した。通常より出場枠が拡大され56チームが、リニューアルされた深紅の優勝旗を懸けて参加。悲願の白河越えを実現するため、東北6チームは堂々と入場行進を行った。金足農(秋田)の最速150キロ右腕・吉田輝星(3年)は満員に膨れ上がった甲子園に大興奮。最速更新に自信を見せた。

 注目されれば注目されるほど力を発揮するのが、吉田という男だ。5万人を超える大観衆の前で堂々と胸を張って行進した最速150キロ右腕は、聖地のマウンドで投げる自分の姿を脳内で既に再生していた。「こういう大観衆の前で150キロを出せば、すごい歓声が上がると思う」。報道陣から150キロオーバーの最速更新を問われると、自信を持って「はい!」と力強く答えてみせた。

 吉田のうなりを上げる直球は、すでに相手校の脅威となっている。初戦で対戦する鹿児島実の選手たちは開会式後に、口々に吉田の印象を話し始めた。「150キロは見たことない。かなりエグい」「県内では最速は143キロしか対戦したことない」「緩急があってタイミングが取りづらい」。それでも対策を練ってくるのが百戦錬磨の鹿児島実だ。本番は侮れない。

 ベンチ入り3年生9人の力をすべて集結させる。出場全56チーム中、出場選手最少の9人は金足農だけ。計43イニングで苦楽をともにしたからこそ、結束して力を発揮できる。「自分の力でここまでこれなかった。感謝の気持ちを持ってやりたい」。第100回の夏。甲子園のマウンドで、吉田が輝く星となる。【高橋洋平】