高校野球の「投球制限」に関する議論が再び活発になってきた。済美の山口直哉投手(3年)が12日の星稜戦で184球を投げ、延長13回を完投した。各方面から、球児の健康管理を懸念する声が上がっている。日本高野連の竹中雅彦事務局に、投球制限導入の可能性を聞いた。

 -今後、制限をかける議論が深まりそうだ

 竹中事務局長 (議論を)やっていかないといけない。体調管理という面で、タイブレークを導入したが、今後は投球回、投球数の制限という話になる。まず踏み込むのは、投球回数だろう。15回を12回に…というふうに。球数に制限をかければチームによって、差が出てしまう。いい投手をつぶそうとすれば、カットしてファウルにすればいい。それでは野球にならなくなる。

 -決勝戦をのぞき、タイブレーク制で引き分け再試合はなくなった。1人の投手が1試合で投げられるのは15回が限度となったが、それでも球数は多い。

 竹中事務局長 従来ならば15回を投げて、次の日に再試合でまた投げるというナンセンスなことになる。タイブレーク制によって、最悪の最悪という事態は回避できた。それでも、悪い状態であることに変わらない。今後、どう考えていくかだ。

 -試合後の済美・中矢監督に対して、球数の質問が多く出た

 竹中事務局長 意識も変わっていかないといけない。チーム事情もあるが、複数投手を育ててやるべきものだと思う。

 甲子園に限れば、最近は複数投手で編成する出場校が増え、継投が主流になりつつある。1人の投手に託すチームは少なくなってきた。指導者の意識は確実に変化しているが、ルールの整備は必要不可欠だ。