大阪桐蔭・中川卓也主将(3年)が、昨夏味わった「サヨナラ負けの悪夢」を自らのバットで振り払い、4年ぶり8強に導いた。

 1点ビハインドで迎えた3回1死一、二塁。高岡商のエース山田から左中間を破る逆転の2点適時二塁打で勝利を呼び込んだ。

 1年間、背負い続けた悔しさを晴らした。昨夏の3回戦(対仙台育英)、1点リードで迎えた9回2死一、二塁の守りで、エース柿木が遊ゴロに仕留め、試合終了かと思われた。しかし、当時一塁手だった中川は遊撃手のボールを捕球後、一塁ベースを踏み忘れたためセーフとなり、次打者のサヨナラ打を招いた(記録は失策)。

 一瞬の気の緩みが敗戦につながることを身をもって経験した中川が、この日は苦しむチームを一撃で救った。「(3回戦は)去年超えられなかった大きな壁だったので超えられてホッとした。(9回相手の先頭打者が出塁した場面は)去年と同じような雰囲気があったけど、経験をして乗り越えて大きくなってきた。二の舞にはならないぞという気持ちだった。なにくそ、と思い1年間やってきた。1、2回戦は(あまり打てずに)迷惑かけたけど何としてもつないで後ろに回したいと思って打席に立った」と中川は胸の内を明かした。

 次戦は18日の準々決勝第1試合で浦和学院と対戦する。昨夏超えられなかった8強入りはクリアしたが、あくまで通過点だ。「春夏連覇が最大の恩返しになる。粘り強く戦っていきたい。(8強の)ここからチーム力がグンと上がっていかないと。(次戦の浦和学院戦へ)相手も手ごわいし、厳しい戦いになるが自分たちの野球を貫けるようにやっていきたい」(中川)。

 史上初となる2度目の春夏連覇へ頼もしい主将は、高校最後の夏を、根尾、藤原らと偉業で締めくくるつもりだ。