白岡が、甲子園準々決勝進出の浦和学院を破り3回戦進出を決めた。

代打で起用された1年生・佐藤優多外野手が大役を果たした。6回表、4連打で1点差に詰め寄ると、なおも2死二、三塁。インコースの真っすぐを振り抜き、中堅手の頭を越える逆転の2点適時三塁打とした。「代打で先輩たちの足を引っ張らないように、とだけ思っていた。いつも体からバットが離れてしまうので、体に引きつけて打つことだけを意識した。抜けた瞬間はうれしかった」と値千金の一打に笑顔を見せた。

今夏、北埼玉大会終了後の7月25日、鳥居俊秀氏(42)に替わり、高橋勝也氏(46)が監督に就任した。高橋監督は「就任当初、このチームを見て『このままじゃ勝てない』と思った」と当時を振り返る。夏は練習試合を多く行うのが白岡野球部の通例も、今年はチームの底上げを計るために「打つ・ノックを受ける・投手は投げ込む」を課題に、ほとんどを練習に費やした。

迎えた8月17日、夏季新人戦・1回戦で春日部共栄と対戦。エラーに凡打が続き、1-15(5回コールド)と大敗。ぼうぜんと立ち尽くす選手たちに「こんな野球をやって楽しいか? 本当に勝ちたいのか?」と高橋監督のげきが飛んだ。

「もう1度、ゼロからしっかりやろう」。山田大空主将(3年)を中心に、練習を見直し徹底。逆転打を打った佐藤外野手は「ただ打つ、捕る、走るだけでなく、質の高い練習をしようと心がけた。その成果が今日、出せたと思う」と、振り返る。先発した迫田将矢は、10四死球も気後れすることなくインコースを責め続け、出塁を許しても集中力は切らさず、バックも守りきった。

山田主将は「強豪校相手でも、お互いにミスをカバーし合って気持ちを1つに戦えばいい試合ができる。自分たちは弱い。今日はたまたま勝てただけ。次も全力で自分たちのプレーをするだけです」と気持ちを引き締めた。

高橋監督は「正直、勝てると思っていなかった。ただ投手さえうまく抑えてくれたら、チャンスはくるだろうと思っていました。本当に、勝っちゃって…すいません、という感じです」。チーム一丸で成し遂げた「ジャイアントキリング」で勢いに乗る。