日本文理が、新潟南に4-3のサヨナラ勝利で4年連続の県王者になった。3-3で迎えた9回2死一、二塁に斎藤現起中堅手(1年)が左中間へのサヨナラ二塁打を放ち、劇的な勝利を決めた。1-1から、8回には1-3のビハインドを背負いながら、劣勢をはね返した。第3代表決定戦は関根学園が帝京長岡に7-0の7回コールド勝ち。地元開催で4校が10月13日に開幕の北信越大会に出場する。

日本文理の4連覇を呼び込んだのは、斎藤のバットだった。3-3の9回2死一、二塁。1ボールからの2球目をジャストミートした打球は、前進守備を敷く左中間を割った。新潟南の星野竜輝投手(1年)が「初回に安打(中前打)を打たれた球がスライダー。あえて投げた」と強気に攻めたボールを、逆に強襲した。二塁を回ると、右こぶしを握り締めながら本塁上の整列に加わる。チーム安打6本のうち、半数の3安打した1年生が3本目の安打で劇的なサヨナラ勝ちを決めた。

「後続につなぐイメージで打席に入った」という斎藤が、喜ぶナインのもとに帰ったとき「ナイスバッティング」と祝福された。殊勲者は今秋、登録メンバー入りしたばかりの1年生。「日本文理は打撃が、強い。打撃に自信があったから入学した」という持ち前の打力を、大事な決勝の大事な場面で披露した。佐藤魁星捕手(2年)からは特別に「よくやった」と声をかけられたが、2-3の8回2死二塁の場面で左前適時同点打を放っていたのが佐藤だった。

北信越大会に弾みをつけるため、日本文理は快勝をもくろんでいた。ところが、厳しいゲームになった。鈴木崇監督(38)は「こういう経験(サヨナラ勝ち)はめったにない。経験したことをプラスに考える」と話した。北信越大会の開幕は10月13日。「生徒たちは1週間で変わる。いい方向に変えて、大会に臨みたい」と指揮官は言う。「1試合で3安打は初めて」と言う斎藤はすでに、決勝の1試合で大きく変わっていた。【涌井幹雄】