公立の古川(宮城2位)が秋田修英(秋田1位)を3-1で破り、4強入りで来春のセンバツ出場に王手をかけた。エース右腕の千坂優斗(2年)が9回9安打5奪三振無四球1失点。57年ぶりの1勝を挙げた初戦に続いて完投した。今日16日は休養日で、明日17日に準決勝が行われる。

力のない右飛を見届けた千坂は、笑顔を見せずに右手でグラブをポンとたたいてクールに整列へ加わった。県北の進学校・古川が誇る「IQ鉄腕」がセンバツ初出場に王手をかけた。「過度なガッツポーズは禁止と大会パンフレットに書いてあったので。内心はうれしかった」。理系クラス120人中、10番台をキープ。数学が得意で将来は国立大で教員免許取得を夢見る秀才が、ニヤリと笑った。

自慢の頭脳的な投球が光った。直球と同じ腕の振りで投げるカットボールを多投してペースをつかんだ。130キロ台前半の直球と同じ軌道で、スライダーよりも手元で小さく曲がる110キロ台後半のくせ球がタイミングをずらした。左打者には外角へ逃げるツーシームを組み合わせた。「いかに動く球で相手の芯を外せるか。考えて勝たないと」と胸を張った。

鉄腕でもある。今秋の地区大会から県大会決勝の5回途中まで1人で投げ抜いた。動く球を自分の武器にしたのには理由があった。「このチームは自分が背負っていかないと。球数をいかに少なく投げるか」。連投で勝ち上がるためには、スタミナを極力温存する必要がある。正確無比の制球力でこの日は無四球。118球で料理した。

4強唯一の公立として、明日17日の準決勝は盛岡大付(岩手1位)と激突する。「自分たちは周りから21世紀枠だと思われているけど、あと1試合勝ってセンバツに出たい」。無欲の「IQ鉄腕」が、下克上を起こす。【高橋洋平】