春夏41度の甲子園出場を誇る東北(宮城)の富沢清徳監督(51)が1日、仙台市内の同校グラウンドで始動した。冒頭に約20分間、選手と円陣を組むなど対話を重視。準備運動から選手の近くに足を運んで視線を注ぎ、紅白戦はネット裏から熱視線を送った。活気ある雰囲気だけでなく、レギュラー白紙を伝えた選手たちの競争意識にも手応えを得て、初日を終えた。

富沢監督の一言一句が、選手たちの目の色を変えた。「東北高校は『甲子園に出ましょう』ではダメ。全国で戦える、勝てるチームにしなくてはいけない。大きな成功は並大抵の日々を送っていては成し遂げられない。高校生活で甲子園出場のチャンスは5回あるけれど、2年生はあと1回しかないぞ」。諭すような笑顔だけでなく、時には厳しい口調を交えた約20分の円陣から発進した。

準備運動やキャッチボールから選手の近くに寄り添った。「誰がエースか、誰が4番バッターなのかも分からない」と、レギュラー白紙も強調。約2時間の紅白戦はバックネット裏にマネジャーと並んで座り、選手の名前などを確認しながら戦力を把握した。当面は技術指導以上に、現況把握を重視するつもりだ。

グラウンドだけでなく、寮や学校での生活こそが野球の土台となることも伝えた。「身だしなみ、あいさつ、掃除…。それはどこの学校でもやっている。質、内容にこだわらないと。監督からの一方通行には、したくない。勉強でも恋愛でも、何でも相談に乗りたい。意思の疎通を図りながらやっていこう」。コミュニケーションを密にし、生活面の充実をグラウンドにつなげる指針を示した。

初紅白戦は7-6の接戦。攻守にわたる必死さが目立った。新体制発表後、10月28日の練習試合では今秋の東北大会王者・八戸学院光星(青森)に4-2、14-11と連勝。県の1年生大会でも宿敵の仙台育英に1-0で勝って優勝するなど、選手の意識改革は早くも始まっている。同監督は「元気もあるし、雰囲気はいいね」。初体験の監督初日を充実の表情で終えた。【鎌田直秀】