桐生第一(群馬)野球部の福田治男前監督(56)が2日、前橋市内で会見を行った。「8月31日をもって監督を解任となり、10月31日をもって(学校法人)桐丘学園を自己都合で退職したことを、ご報告させていただきます」と経緯を明かした。

福田氏は、85年の創部と同時に同校の監督に就任。春5度、夏9度の甲子園に出場し、99年夏には全国制覇を達成した。

しかし今年8月に体罰問題が表面化し、報道の影響も受けて部長が解任された。福田氏は、定年まで監督を続ける約束を学校側としていたが、8月27日に「総合的な経営判断をした結果」として一方的に解任を通告されたという。その後、コーチだった今泉壮介氏が新監督に就任した。

福田氏は「定年までの残り4年間、全力投球、完全燃焼するつもりで話はまとまっていた。とても理解、納得できる話ではなかった。ただ、秋季大会が目前で、選手の動揺も考えれば話を受けざるを得ない状況だった。不本意な形で終えることになり、学園関係者には不信感しか残っていない。残念でなりません」と思いを吐露した。

学校側への不満は残っているものの「裁判や、法廷で争うつもりは、考えていません」とした。

また、今後については「次のステップにつなげていきたい」と指導者を続けていく考えを口にした。実績は十分で「高校野球に未練がないと言えば、ウソになる。野球への思いは薄れていません。今まで30年以上指導をしてきて、必要としてくれる学校があれば、前向きに考えたい。監督(という立場)にはこだわりはありません」ととした。

監督交代後のチームは秋季関東大会に出場したものの、1回戦で敗退。センバツ出場は絶望的な状況だ。解任決定後は、選手にも顔を会わさぬままグラウンドを離れたという。今泉監督は、福田氏の教え子でもある。「名門校の監督は大変だと思いますが、頑張ってもらいたい。預かった選手は、最後まで面倒が見られず申し訳ないと(8月30日の)保護者会で謝罪しました。生徒と直接あって、話したかった。頑張ってもらいたい」とエールを送った。