最速142キロの北海のオオカミは、雪に閉ざされる北の大地で、地道に肉体改造を図る。札幌大谷エース西原健太投手(2年)は明治神宮野球大会決勝で、星稜打線相手に1安打8奪三振完投。初陣優勝に導いた。大会後は、初めてスピードスケート選手が用いるスライドボードを用いて内転筋強化に着手。「外で投げられない冬場に、下半身をしっかり鍛えたい」とさらなる成長を誓う。

明治神宮大会直前、札幌大谷大監督でJR北海道の元エースとして07年都市対抗4強に導いた神田幸輝氏(46)のアドバイスを受けフォーム修正。「右膝を曲げずに後ろに体重を残すことで、球に力を込められるようになったのが良かった」と好投の要因に挙げた。

球威には自信がある。札幌大谷では1年春からベンチ入り。当時から捕手を務める飯田柊哉主将(2年)のミットの内側や、ひもを何度も引き裂いてきた。北海道勢では、13年駒大苫小牧の田中将大(ヤンキース)以来の明治神宮大会優勝投手に輝き「春までに速いスライダーを身につけ、直球が生きるようにしたい」とさらなる進化を誓った。

初の全国舞台で一躍、ドラフト候補に浮上した。「気持ちで向かっていく投球が自分の武器だが、神宮大会では状況に応じて落ち着いて投げることもできた」。秋季北海道大会準決勝、決勝は3回持たずに右横手投げの太田流星投手(2年)に救援をあおいだが、全国舞台ではピンチでも粘り強く抑え、精神的に成長した姿を披露。飛躍した神宮での投球に磨きをかけ、春に備える。【永野高輔】

◆西原健太(にしはら・けんた)2001年(平13)7月19日、北海道赤平市生まれ。赤平豊里小1年時に赤平レッドレイズで野球を始める。札幌大谷中では、エースとして16年のリトルシニア全国選抜で8強。札幌大谷では1年春から背番号18でベンチ入り。好きな言葉は「誰かのためになる野球を」。家族は両親と妹。184センチ、90キロ。右投げ右打ち。