時代が変化する中、心と体を強化する伝統の練習を続ける高校がある。28日、今夏の甲子園で4強の日大三(東京)は、恒例の「冬の強化練習」を打ち上げた。

<解説>

極限まで追い込むトレーニングを、なぜ行うのか? 野球の技術アップだけが目的ではない。高校生の人格形成を促す大きな目的もある。

日大三ナインは冬の合宿を通じ、努力や継続することの大切さ、忍耐を身につける。昨年、海上保安庁で潜水士を務める同校野球部OBが強化合宿を訪れ、ナインに語りかけた。「この強化合宿を経験したら、なにも怖いものはないです」。命懸けで人命救助する“海猿”が、合宿の意義と重みを伝えた。

小倉監督が全力で向き合うから、絆も深まる。ノックは自ら打ち、選手と真剣勝負。10年は右膝痛を抱えながら、テーピングをして敢行。当時の主将の畔上翔外野手(現ホンダ鈴鹿)から「ノッカー、右膝痛いよ~」と言われながらも意地で続けた。合宿後に手術を受けるほどの重症だったが、「選手も本気だから」と完走。翌年夏、自身2度目の甲子園優勝を飾った。