2年連続13度目出場の智弁和歌山を、トーク力抜群な主将が25年ぶり2度目の春頂点へ押し上げる。元阪神・中谷仁監督(39)体制の甲子園初戦は第6日第1試合の熊本西に決定。プロ注目の黒川史陽主将(3年)は「去年の準優勝は今は関係ない。監督を男にしたい」と力強く言い切った。

前日14日の代表者会議後に中谷監督は「立候補制だと思っていた」と、開会式の選手宣誓が全主将による抽選方式ということを知った。「選手宣誓だけは引くなよ…」。黒川も「野球以外に力がいってしまう」とそわそわしながら封筒を開き、落選を見て「ホッとした」と胸をなで下ろした。

そんな舞台裏と対照的に、黒川の求心力は高まるばかりだ。前週にあった校内壮行会では、全校生徒ら約500人に「花粉もよく飛んでいますが、打球もよく飛んでいます」と爆笑スピーチ。中谷監督は「理事長が『智弁の主将で初めて笑いを取りにいった』と言っていた」と明かし「グイグイとチームを引っ張っていっている」とうなずいた。

黒川の父洋行さんは上宮(大阪)主将だった93年センバツで優勝。その遺伝子を継ぐ逸材は「打撃はミスショットを少なく、いい状態で甲子園に入りたい」とギアを入れた。【松本航】