金沢市の学校で授業中、星稜・奥川恭伸投手(3年)は先生から抽選結果が記された紙を受け取った。

対戦相手を確認すると驚きながらもニヤリとした。

「昨日(14日)から打撃のいいチーム(との対戦)になると予想していた。広陵、履正社、(八戸学院)光星、盛岡大付とか。まさか本当に引くとは。びっくりしました」

屈指の強打を誇る履正社との対戦だ。大会第1日の登場。「最高の場所で、最高の相手とやれる。ワクワクして、楽しみ。気持ちがたかぶっています。初戦に勝てば勢いづく。初戦に全力でぶつかれるように準備したい」と笑みを交えて話した。

大会NO・1の前評判を証明するには、これ以上ない相手だ。履正社とは毎年6月に練習試合を行うが、過去2年、奥川は投げていない。主砲・井上が対戦を望んでいることを聞くと「怖いな~」と冗談めかし「体が大きくて力のある打者がそろっている。マウンドでそれを感じられるのはうれしい」と腕をぶした。

柔和な表情とは裏腹に、スイッチは切り替わった。練習でブルペン入りした際に、自ら報道陣に写真撮影の自粛を求めた。初の行動に「申し訳なかったです。23日に仕上げるために、自分のペースでやらせていただきたかった」と頭を下げた。調整は順調。今週末の練習試合では初めて完投に近いイニングを予定する。残り1週間で、一気にギアをMAXまで上げる。「凜(りん)とした姿で、最後まで戦い抜きたい」。抽選会から話題をさらった春の主役は、大会初日から本領発揮を狙っている。【柏原誠】