第91回選抜高校野球大会(23日開幕、甲子園)の組み合わせ抽選会が15日、大阪市内で行われ、2年ぶり5度目出場の盛岡大付(岩手)は25日の第2試合で、21世紀枠で初出場する石岡一(茨城)との対戦が決まった。相手はプロ注目右腕を擁すが、速球派に強く左打者が並ぶ打線には格好の相手。決勝まで狙い通りの日程も引き当てた。運も味方に付けて、節目の甲子園通算10勝目をつかむ。

信じる者は救われる。盛岡大付・及川温大(あつひろ)主将(3年)は強運アイテムとともに、抽選会に臨んだ。本抽選は最後から8番目。事前に第3日第2試合までのブロックに入ることが決まり、対戦相手にV候補の履正社(大阪)などが残る4つから、運を天に委ねた。関口清治監督(41)は「及川の目線が履正社のところ(6番)に見えた。『引きやがった』かと」。一瞬動揺したが、つかんだのは15番だった。

「心行」という神職が記した小冊子を胸に忍ばせた。赤堀佳敬副部長(25)からプレゼントされ、昨秋の東北大会抽選会でも携帯し、準優勝につなげた。及川主将は「早い(試合)時間だけは引かないように。先輩から『甲子園はビビったらダメだ』と言われたので、不動心を貫きました」とポーカーフェースを貫いたが、理想的な組み合わせに満足した。関口監督も「(番号の)15から18がいいと思っていた。試合も同じ時間帯で、日程的にはベスト」と笑顔。最近の甲子園で続いた第1試合を回避し、しかも準々決勝まで開始が午前11時台の第2試合。連戦も決勝までない。規則正しいリズムで大会を進めることができる。

対戦相手も、警戒していた左腕エースを避けた。石岡一(茨城)はプロ注目の最速147キロ右腕・岩本大地(3年)を擁すが、昨秋の県大会では157キロ右腕の大船渡・佐々木朗希(3年)から7点を奪取。過去には花巻東・大谷翔平(24=エンゼルス)も攻略するなど伝統的に速球派に強く、スタメンに左打者6人が並ぶ打線に死角はない。

練習試合は5試合で4勝1敗。1番峰圭哉内野手(3年)の3本をトップに、早くも6本塁打が飛び出す。肉体改造の成果が出ており、関口監督は「ユニホームがピチッとなって、甲子園に似合ってきた」と目を細め、「強い投手と対戦できるのが甲子園の醍醐味(だいごみ)です」。監督としても甲子園10勝目を、看板の攻撃野球でつかみ取る。【中島正好】