第91回選抜高校野球(23日開幕、甲子園)に出場する札幌大谷と札幌第一が19日、甲子園練習を行った。雨で室内練習となったが、札幌大谷の飯田柊哉主将ら3年生メンバーにとっては、16年春に札幌大谷中の一員としてセンバツ準決勝の智弁学園(奈良)-龍谷大平安(京都)を観戦して以来の聖地。3年前、仲間とともに誓い合った夢の舞台に足を踏み入れ、24日の1回戦・米子東(鳥取)戦に向け、さらに気持ちを高ぶらせた。

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室内練習場に入る直前、待機場所にいた札幌大谷の飯田は、隙間から見える甲子園の芝を、ゆっくりと目に焼き付けた。「雨でグラウンドに立てなかったのは残念だが、少し見えた。やっときた。もう少しで、ここで野球ができるんだと思い、気持ちが高ぶりました」。限られた時間、わずかに見えた情景だったからこそ、感動はより鮮明に、刻まれた。

16年3月30日、札幌大谷中3年だった飯田、西原健太、釜萢大司、石鳥亮(すべて3年)らは、甲子園の右翼側外野席にいた。大阪で行われたリトルシニア全国選抜で8強になった後、聖地でセンバツを観戦した。目にしたのは智弁学園-龍谷大平安で、試合は智弁学園のサヨナラ勝ち。「すごい歓声で、あのときみんなでここに戻って来ようと話をした」。その約束を仲間とともに果たした。

あこがれの土の上を吹き抜ける風を感じ、ギアは、また一段上がった。「ここはスタート地点。僕らの戦いはここから」。18日からは米子東の映像を見て分析も開始した。打率(2割4分2厘)、総得点(40)、平均得失点差(0・63)は出場32校中最も低い。派手さはないが、競り合いを勝ち上がってきた不気味な存在だけに、司令塔として可能な限りの情報をインプットし、万全を期す。

この日は豊中市内のグラウンドで練習後、甲子園に移動。聖地の室内では太田流星(3年)ら投手陣のボールを受け、石鳥、西原らは肩車してのスクワットで汗を流した。「みんな和歌山に入ったときよりどんどんキレが上がっている」と飯田。20日は昨夏の甲子園8強、近江(滋賀)と開幕前最後の実戦を行う。巧みな配球と統率力でチームの力を引き出し、完成形に近づける。【永野高輔】