第91回選抜高校野球大会(23日開幕、甲子園)に3年ぶり10度目出場の八戸学院光星(青森)は21日、本番前最後の練習試合を勝利で締めた。奈良・生駒市で行われた近大付(大阪)との第1試合は失策などが絡んで3-5と逆転負けしたが、京都学園との第2試合は、8回裏に「4番一塁」近藤遼一内野手(3年)が左越え130メートル特大弾を放って4-2。広陵(広島)との1回戦(26日)に向け、主砲の今季1号で勢いをつけた。今日22日には開会式リハーサルが予定されている。

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近藤の快音が、光星ナインの笑顔を取り戻させた。3-1の8回裏先頭、低い重心から直球をフルスイング。左翼後方の大木の枝に直撃し、「カコーン」と乾いた音が球場に鳴り響いた。「甲子園の試合前最後の打席で自分らしいスイングが出来て、ホームランを打てたことはうれしいし、乗っていける。気持ち良く本番に迎えます」。観戦していた近大付の選手たちからも「あんな飛ぶなんて、スゲエ」と声が漏れるほどの推定130メートル弾。湿りがちだった打線に活力を与える待望の一発となった。

昨秋は公式戦全10戦で40打数19安打と、チームトップの打率4割7分5厘。20打点と仲間の信頼も積み重ねて、東北大会優勝を導いた。明治神宮大会2回戦でも高松商(香川)相手に左翼スタンド中段まで運ぶアーチを放った。今大会初戦で対戦する広陵投手陣の分析も完了。140超の左右両輪に対し「左投手はインコースを突いてくるし、右投手は評判のまっすぐ中心。1球で仕留める準備は出来ています」と対策は万全だ。

昨夏の甲子園は、直前でメンバー落ちする屈辱を味わった。八戸に残り、悔しさをバットに伝えた。両手が血で染まるほどガムシャラに振り込んだ。「あれがあったから秋も打てたと思うし、今がある。良かったとさえ思えています。この冬も甲子園で悔しさを晴らすために練習してきた自信もある」。

11年夏から3季連続甲子園準優勝した4番に座った先輩、田村龍弘捕手(24=現ロッテ)と北條史也内野手(24=現阪神)を超える存在感を目指す。「光星の4番としてチャンスで打ったり、点が欲しい場面でホームランを打ちたい」。近藤の勝負強さが、東北初の頂点を引き寄せる。【鎌田直秀】