明豊(大分)の背番号12、甲子園で勝ち続けた兄を持つ、青地七斗内野手(3年)が、横浜(神奈川)の153キロ左腕、及川攻略をけん引した。

明豊ではスタメンは事前に発表されない。「試合前の電光掲示板に自分の名前が載っていたので初めてスタメンなんだと思った」。青地は新チーム初スタメンで、熱いものがこみあげてくるのが分かった。2回の第1打席。「相手(及川)の一番いい球を打とう」。初球の143キロの直球をたたくと打球は快音を響かせて中前へ。ナインを勇気づける一打だった。「及川投手は対戦したい投手でした。打席に入るだけでうれしかった」。3回には同点に追いついてなおも2死三塁で、三塁手を強襲する内野安打。勝ち越しに成功した。「甲子園で結果を出してうれしい」と笑みを浮かべた。

一塁側スタンドには、昨年大阪桐蔭で甲子園春夏連覇を達成した兄・青地斗舞(同大1年)が両親とともに観戦していた。「線も細かった弟が活躍してくれてうれしい。人の野球を見て初めて鳥肌が立った」と目を細めた。弟・七斗は「兄からは甲子園では普通に打ったらフライになるので上からたたけと言われた。それが効きました。実家には大阪桐蔭のトロフィーとかばかりなので、明豊も増やしたい」と笑顔を浮かべた。大会屈指の左腕攻略の先陣を切った青地が、兄に近づくために2回戦以降もバットを振り続ける。【浦田由紀夫】