<センバツ高校野球:習志野8-2日章学園>◇24日◇1回戦

野球記者歴40年の米谷輝昭記者のコラム「ヨネタニー'S・ファイル」がスタート。試合の明暗を分けたワンプレーに注目します。

   ◇   ◇   ◇

目前に転がってきたボールが突然、跳ね上がった。それでも習志野・角田勇斗遊撃手(2年)は動じない。グラブを差し上げて捕球すると、何ごともなかったように、一塁に送球した。「土のグラウンドはイレギュラーするもんなんで」。日章学園戦の5回、先頭打者の放った打球だった。

相手守備陣が6失策と乱れただけに、堅実な守りが際立った。イレギュラーの捕球をこう説明した。「ボールを上から見てると、急に跳ねても対応できない。それを下から見ると、分かるんで」。上下動しながら転がってくるゴロを、低い位置にある時点からしっかりと見る。それが対応する秘訣(ひけつ)だという。

そんな角田も、昨秋の関東大会(桐蔭学園戦)では1人で3失策、チームは敗れた。大会後の練習では、イレギュラーバウンドを前歯に当てた。以来源田(西武)や小園(広島)の動画を繰り返し見た。小林徹監督(56)から「ボールの下から」のアドバイスを受けていた。

「1個目のゴロを捕っていけるなと思いました」。さばいた打球は計8つ。本人の予感通り、無失策だった。【米谷輝昭】