<センバツ高校野球:龍谷大平安2-0津田学園>◇25日◇1回戦

野球記者歴40年の米谷輝昭記者のコラム「ヨネタニー'S・ファイル」がスタート。試合の明暗を分けたワンプレーに注目します。

   ◇   ◇   ◇

バットを構えると同時に右足をあげる。このままピクリともせず、投手に立ち向かう。津田学園・藤井久大右翼手(3年)の打撃フォームだ。4打数無安打に終わった。それでも「一冬越えて力強くなった。続けます」。敗戦にも1本足静止打法の続行を口にした。

8回2死一塁で入った打席は1本足の静止時間が10・07秒にもなった。「スクワットとかウエートで鍛えているんで大丈夫です」。昨秋の県大会前に始めたフォームだ。「地区大会で打てなかったんで、試行錯誤して変えました」。直後の東海大会(中京大中京戦)で3ランを放っている。

参考にしたのは同じ左打ち、オリックス時代のイチローだという。「YouTubeで見ました」。当時は振り子打法で、静止を続ける藤井とはちょっぴり違うが「自分は(足をあげて)止めた方がしっくりくる。バランスよく打てるんです」と説明した。

お手本にした選手はつい先日、現役引退を決めた。「最後の打席はテレビで見ていました。『イチロー2世』になりたいです」。ユニーク打法でセンバツの舞台をつかんだ藤井の目標は大きい。【米谷輝昭】