<センバツ高校野球:広陵2-0八戸学院光星>◇26日◇1回戦

野球記者歴40年の米谷輝昭記者のコラム「ヨネタニー'S・ファイル」がスタート。試合の明暗を分けたワンプレーに注目します。

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高めに浮いた初球のスライダーを逃さなかった。広陵・秋山功太郎外野手(3年)が5回、先頭で入った打席だ。打球は三塁線に転がる二塁打になった。1死後、左前打で均衡を破るホームを踏んだ。「初球から積極的に打とうと思っていました」と振り返った。

前打席(2回)は三振に倒れた。その最後の空振りが5回の初球と同じ125キロのスライダーだった。してやられた球。秋山は「同じ球が来たら、上からたたこうと思った」と意識していた。それが初球に来た。捕手がリードする中で、初球の入り方としてこんな教えがある。「抑えた逆から、打たれた球から」。

初球はまた、打者有利のカウントでもある。大会通算最多安打の616本を記録した昨年、打率は2割6分7厘だった。そのうちの「初球打ち」に限ると、110本、打率は3割2分4厘もあった。

「1球目は相手の様子を見ようと、低めのボール球を要求したんです。それが高めに入ってしまって。来た瞬間、ヤバイと思いました」。八戸学院光星の太山皓仁捕手(3年)が、対秋山の初球を悔やんだ。【米谷輝昭】