第91回選抜高校野球大会(23日開幕)の出場校による甲子園練習2日目は、悪天候のため室内練習場で行われ、6年ぶり24度目出場で優勝候補の一角、広陵(広島)が登場した。エース河野(かわの)佳投手(3年)ら投手陣4人が入念に調整し、春4度目の日本一へ本格始動した。1回戦は大会第4日に八戸学院光星(青森)と対戦する。この日は15校が参加した。

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聖地のマウンドをイメージしながらブルペンで40球を投げ込んだ。「去年は先輩についていくのに必死だった。今年は自分たちが主役。自分が引っ張っていきたい」。名門の背番号1を背負う河野は力強く話す。

昨秋の神宮大会初戦で星稜(石川)に歯が立たず7回コールド負け。投げ合った奥川に対して、河野は「すべてが完璧だった」と全国との差を痛感した。冬の間はフォームを固定させ、タイヤ引きなどのトレーニングで下半身を強化。秋は130キロ台後半だった球速は今では最速148キロになった。プロ注目といわれる選手にまで成長した。

威力あるストレートは河野の武器だが、驚くべきは直球の能力を示す1分間あたりの回転数だ。他の投手は1分間で約2000超という中、河野の回転数は約2500という。測定器械は違うが、エンゼルス大谷翔平投手(24)の直球でも約2200回といわれる中、高校生投手としては驚異的な数字をたたき出す。中井哲之監督(56)は「河野の回転数は抜けている。今は一番調子がいい投手」と厚い信頼を寄せる。

出場校中トップレベルの投手力を誇る。エース河野に加え、緩急自在の石原勇輝、最速142キロ左腕の森勝哉、制球力が武器の高(たか)太一(いずれも3年)ら層の厚い投手陣が控える。「(初戦の)八戸学院光星は打のチーム。投手が抑えたら点を取ってくれると思う」と河野。地元広島の名将・毛利元就の3本の矢ならぬ「4本の矢」で春の聖地を勝ち抜いて見せる。【望月千草】