静岡商(中部1位)が、昨秋の県王者・御殿場西(東部4位)を4-1で破り、8強に与えられる夏のシード権を7年ぶりに獲得した。先発の高田琢登(たくと)投手(2年)が、7安打1失点完投。16奪三振の快投でチームをベスト8へ導いた。

静岡商・高田の渾身(こんしん)の1球が、勢い良くミットに吸い込まれた。最終回2死、最後の打者に投じた5球目。自己最速の144キロに迫る142キロの直球で、空振り三振を奪った。「最後は3つ取ろうと思っていた」。先頭こそ死球で歩かせたが、その後は狙い通りの3者連続三振で試合を終わらせた。

昨秋県王者の御殿場西打線を相手に、毎回の16奪三振。7安打1失点の快投で、公式戦初先発初完投を飾った。マウンド上で雄たけびを上げた2年生左腕は「シード権を取れた喜び。初めて9回を投げて、毎回(三振を)取れたことも良かった」とにっこり。7年ぶりの夏シード権をもたらし、白い歯を見せた。

これまでは、中部地区大会決勝の4回が最長イニングだった。この日“未知”の6回に1点を失ったが「もう1度、ギアを上げた」と、不安視されたスタミナ不足を一蹴。さらに「スライダーを入れてうまく追い込めた」と修正能力の高さも見せ、重圧のかかる初戦で起用に応えた。父の高田晋松監督(49)も「2-1になった6回の時に『代えない』と告げた。期待通り」と、目を細めた。

5月1日の3回戦は、浜松商と対戦する。エース勝間田康生(3年)に加え、背番号「10」の高田の台頭は、チームにとっても大きなプラス材料になった。「もっと、勝間田さんを楽にできるようにしていきたい」と、さらなる飛躍を誓う。13年ぶりの甲子園を目指す夏に向けても、静岡商の視界が良好だ。【前田和哉】