大船渡(岩手)の最速163キロ右腕・佐々木朗希投手(3年)が3日、今季初の公式戦に登板した。春季県大会予選・住田戦に先発し、3回1安打無失点で4奪三振。チームも17-2の5回コールドで勝利し、春季県大会(17日開幕)出場を決めた。

朗希の後はオレに任せろ! 大船渡の2番手柴田貴広投手(3年)が、確かな手応えをつかんだ。2回2失点ながら、サイドスローから最速120キロの直球にスライダー、カーブ、チェンジアップを駆使して相手を幻惑した。「朗希の後に球の遅さを生かして投げられたら」。高校生最速163キロの佐々木朗希投手(3年)から目先を変えるにはうってつけの軟投派だ。

盛岡大付、花巻東など強豪ひしめく岩手を勝ち抜くには、佐々木頼みからの脱却が求められる。この日は「4割から5割の力」(佐々木)で投球したのも、夏の連投を想定したものと思われ、柴田ら他の投手たちは自らが成長し、大黒柱の負担を減らそうと意気込む。「朗希は野球に対して本当に真面目で真摯(しんし)。僕らも負けていられない」。昨秋、佐々木から「コントロールを磨け」とアドバイスを受けた。ピンチでの対応から投球の組み立てまで、何でも教えてくれる身近な先生だ。

今はまだ脇役だが、度胸は満点だ。地区大会ながら同球場最多の約2800人もの観衆が詰めかけたが、「朗希の後を投げられるのは楽しい。モチベーションも上がります」。令和の怪物効果で、大船渡投手陣の底上げが着々と進んでいる。【野上伸悟】