札幌地区で、札幌英藍が春初の全道大会進出を決めた。エース右腕の鈴木一真(3年)が、試合途中で腰痛を発症しながら延長11回129球完投。前日14日の3回戦北海学園札幌戦も延長11回194球を投げきっており、2日連投で計22回323球を投げ、全道切符獲得に導いた。

最後の打者を打ち取ると、鈴木は左膝をつきマウンド近くにうずくまった。チームメートに抱きかかえられながら整列。目を潤ませ「痛みと、勝ったうれしさの両方。みんなが打って守ってくれたからこそ勝てた」と仲間に感謝した。

連投の疲れから、3回を過ぎて腰の左側に張りを感じ始めた。平山賢一監督(54)が異変を感じ交代をすすめても「投げられます」と続投を志願。終盤は投げた後に左足で強く踏ん張れず、少しよろめきながら投げきった。

マウンドを降りるわけにはいかなかった。相手の札幌北陵エース小林凌穂投手(3年)は、札幌屯田北中時代のチームメート。旧友との激しい投げ合いに「とても楽しい時間だった。何としても最後まで戦いたかった」。11回2死では、その小林を遊ゴロに打ち取り、試合を締めた。

スタンドで応援した母紀和子さんは、前日の北海学園札幌戦で11回を投げ抜いた後、整骨院に連れて行きマッサージを受けさせ、疲労回復のため近くの銭湯へ連れて行った。それでも過酷な戦いを乗り越えた疲れは残っていた。試合後は「心配で仕方なかったけど、勝って良かった」と胸の内を吐露した。

7回コールド勝ちした12日の札幌北との初戦が115球完投。4日で3戦29回、計438球を1人で投げ抜いた。3季通じ初出場した昨秋の全道は、初戦の釧路湖陵戦で17安打を浴び12失点で敗れており「あの悔しさをバネに冬場に鍛えてきた。今度は全道1勝を挙げにいく」。痛みに耐え投げ抜いた“ど根性右腕”が、秋の雪辱に挑む。【永野高輔】