酒田東は7-6で東海大山形に競り勝ち、2年連続の初戦突破を決めた。3度同点に追いつかれたが主導権を渡さず、14安打の猛攻で打ち勝った。女子の佐藤日和(ひより)マネジャー(3年)が記録員としてベンチ入りし、第2の監督として勝利に導いた。

球場に、女性の声が響き渡った。攻撃では「この回行くぞ! キャプテンの意地を見せろ。もっと引き付けろ」。守備に就くナインには「落ち着いていこう。ボールを呼び込め。来るぞ、来るぞ!」と監督顔負けの指示を与える。佐藤マネジャーは「武器は声です。ベンチの雰囲気を盛り上げるのが役割」と胸を張る。勝利の瞬間、すでに声はガラガラ。最後は校歌を歌えないほど力を出し尽くした。

酒田四中ではソフトボール部の主将だったが、同部のない酒田東では野球部マネジャーを志願した。昨秋からベンチ入りし、大声を張り上げる。その的確な指示はナインも信頼を寄せるほどで、斎藤和浩監督(53)も「第2の監督ですよ」と認めるほど。声量があるのも強みで、8回に勝ち越し二塁打の冨樫雅外野手(2年)は「外野まで聞こえる」と信頼。同級生の本多瞬主将(3年)も「声援が力になっている」と認める。佐藤マネジャーは「甲子園でも声を出してみたい」と、聖地での「采配」を夢見ている。【佐々木雄高】