乙訓がコールド勝ちで決勝進出を決めた。6回、クリーンアップに集中打が出て5点を奪い、一気に10点差をつけた。

昨年のセンバツで春夏通じて初めて甲子園に出場したが、現チームに甲子園経験者はいない。約50人いた最上級生がごっそりと抜け、ほぼ一からのスタートになった。市川靖久監督(36)は「経験がない中で、この春も1試合でも多く公式戦を戦おうと言ってきた。1戦ずつ力をつけてきています」と目を細めた。

経験の少なさは自覚を促すことで埋めていった。昨秋の敗退後、監督は2年生と1年生を完全に分けて、それぞれのテーマで練習を課した。「冬の間に、自分たちで考えてチーム作りをする雰囲気ができてきた。いいものを持っていたのが、精神的に安定して、力を発揮できるようになってきた」と振り返る。

昨秋までは監督から「仮」の主将と言われていた嘉門凌大内野手(3年)は大きく成長した筆頭。3月21日には東邦(愛知)智弁学園(奈良)との練習試合でともに7点差のコールド負け。主将は「このままじゃアカン」とナインに伝え、練習に臨む姿勢から見つめ直してきたという。

春季府大会はセンバツ出場の福知山成美を下し、勢いづいた。この日3安打で決勝進出に貢献した嘉門は「結果が出てきて、みんな自信につながっていると思う。決勝でも自分たちの野球をやりたい」とハツラツと話した。