弘前学院聖愛(青森2位)が仙台育英(宮城1位)との接戦を7-6の逆転劇で制し、春秋通じ初の決勝進出を決めた。先発のエース左腕・下山祐輝(3年)が5回を3失点、6回から登板の成田京平外野手(3年)も3失点と粘りの投球。9回表1死二、三塁から古舘(こだて)智礼内野手(2年)が逆転の2点適時打を放った。

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弘前学院聖愛が、仙台育英との我慢比べを制した。5-6と追い込まれた9回表、仙台育英は先発し6回から三塁に回ったエース大栄陽斗投手(3年)を再びマウンドに送り込み、逃げ切りを図ろうとした。連打と犠打で1死二、三塁とすると、今度は最速147キロの1年生左腕・笹倉世凪が登場。3番古舘は「ゴロを打ちます」と言って打席に向かおうとしたが、原田一範監督はとっさに伝令を出した。「内野が前に来ているから思い切っていけ」。状況を理解した古舘は中前へ強烈な逆転適時打を放った。

原田監督は選手の自主性を尊重しながら、機を見てアドバイスすることを心がけている。昨年、経営者対象の講演会に参加した際、「これからの時代、野球もサッカーやラグビー型じゃないといけない」とダメ出しされた。監督が1球1球指示を与えるのではなく、フィールドにいる選手自らが考えて動かなくては大きな成長を望めない。「指示待ちスポーツからの脱却を図りたい」と決意し、改革を図ってきた。

4月の練習試合で0-4と完敗した相手に大舞台でリベンジした。「公式戦で本当に強い相手と勝負できるのが大切。勝って成功体験を得ることが次につながる。選手の秘めた力はこんなもんじゃないと思っている」。本番の夏を前に、初の東北大会決勝はこれ以上ない経験の舞台となる。【野上伸悟】