私学2強が軸となる。夏連覇を狙う花巻東は、最速147キロ右腕・西舘勇陽投手(3年)が腰痛から完全復活し、昨年の不調を脱した。今春の東北大会ではピンチの場面で登板して連打を許す場面もあったが、スライダーやフォークなどの変化球を絡めた奪三振ショーは魅力。打者陣も指の骨折から復帰した中村勇真外野手(3年)を中心に、水谷公省外野手(2年)や田村陽大内野手(2年)など破壊力抜群。走塁や小技を絡めた攻撃も健在だ。

今春センバツ出場の盛岡大付は切れ目のない打線が自慢だ。昨秋は県大会を制して東北大会準優勝。今春も県3位。岡田光輝外野手(3年)、佐々木俊輔内野手(3年)、平賀佑東外野手(3年)ら、上位下位問わずに長打を狙える。1年生ながらレギュラーに定着した松本龍哉内野手の存在もチームを活性化。投手陣も技巧派左腕・阿部秀俊投手(3年)を中心に、右腕・木内優成投手(3年)も甲子園経験を生かす。

最大の注目は、高校生史上最速163キロエース右腕・佐々木朗希投手(3年)を擁する大船渡だ。春の県大会は登板のないまま1回戦で釜石に敗れてノーシード。打者としても存在感を示すだけに、投打でのフル回転が甲子園出場のカギを握るが、木下大洋外野手(3年)の打撃など総合力も低くない。

続くのは昨秋、今春と連続4強入りした専大北上。特に昨秋の3位決定戦では終盤に登板した大船渡・佐々木を打ち崩し、東北大会でも1勝。好打者がそろうだけに、プロ野球中日や巨人などで捕手として活躍した中尾孝義監督(63)が短期間で投手陣のレベルアップを図れれば、上位を脅かす。

秋、春ともに8強の一関学院は投打のバランスが良い。黒沢尻工は長距離砲・石塚綜一郎捕手(3年)を中心とした打力で勝負。今春準優勝の盛岡四、春8強の久慈などにも、チームのまとまりがある。

甲子園出場争いはもちろん、大船渡・佐々木がさらに自己最速を更新するのか。どの高校が佐々木を攻略するのか。今秋のドラフト1位指名を明言した日本ハムをはじめ、日米プロ球団が注目する「怪物」を中心に、岩手球界が一喜一憂することは間違いない。