新潟南のエース清水響介投手(3年)が、同校30年ぶりの甲子園を視野に入れた。準優勝した昨秋は、2回戦から準決勝までの5試合連続で先発9回完投。チームをけん引した大黒柱は以後、右肩の炎症に見舞われ登板を回避した。投げ込み不足の今春は3回戦どまりだったが、照準を合わせてきた夏へ、コンディションは整った。

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清水投手がボールを投げ込むと、捕手の構えるミットが乾いた音を立てた。投げ込み不足の春は3回戦の新発田戦で先発も7回を投げ5失点で降板。チームは2-7で敗れた。屈辱の春を乗り越え、持ち前の直球は最速139キロに戻った。5試合連続9回完投した昨秋を上回るスタミナにも自信満々だ。「夏は(マウンドを)譲れない。自分が全部、投げ切るつもり」。エースの自覚は十分だった。

昨秋は決勝を前に右肩の炎症に見舞われた。大会後は、はり治療などのケアに専念し、冬季は投げ込みを回避して体力強化に努めた。「大事に、大事にとやってきた」。そんな状態で臨んだ春の3回戦敗退を、清水は夏への発奮材料にする。

「春は自分のせいで負けた」と責任感をパワーに代える。夏に向けて、投球フォームもマイナーチェンジした。従来のセットポジションから、ワインドアップに変更。ストレートを生かす変化球はカーブ、シュート、スライダー、フォークなど豊富だ。

長島史明監督(45)は「清水が調子を上げてきた。それと比例して、チーム状態は上がっている」と言う。持ち前の守備からリズムを作る戦い方が想定できるようになったのはエースの完全復活が大きな要因。ベンチ入りした1年秋からクリーンアップを外れたことのない打力もチームの推進力だ。「強い気持ちでチームを引っ張っていきたい」。初戦の相手は新発田南。最後の夏へ、清水は準備を整えた。【涌井幹雄】

◆清水響介(しみず・きょうすけ)2001年(平13)8月19日生まれ、新潟市出身。野球は真砂小3年から始める。五十嵐中出身。高校では1年秋に背番号3で出場。背番号1は2年秋から。打順は3番か4番で1年秋からクリーンアップ。右投げ左打ち。181センチ、70キロ。血液型A。